東京タワー

 原作を引きずらないか心配だったのですが、ときどきフフ・・・と笑ってしまったものの、心配したほど引きずられませんでした。見せ場となる修羅場がいくつかあるのですが、どれも原作と全然違うし、どちらの恋も終わり方は原作と違うものなので、別物として見ることができたからかな。『冷静と情熱のあいだ』を見たときのような違和感は感じませんでした。
 部屋も建物も小物も衣装もとにかく綺麗で、お話よりは美しい映像を楽しんだ感じです。透たちより耕二たちの方が好きですが、映画でもそれは変わりませんでした。喜美子が耕二と関係を持ったのは家や夫に不満があるからだというありきたりな理由を持たせてしまったのが残念だなと思いましたけれど、耕二たちの方が現実味があって可愛らしかった。原作通りの終わり方で、そのときの松本くんを見たいと思ったけれど、耕二と喜美子の終わりは悲しくも優しくてよかったです。一番好きなシーンはふたりで桃を食べながら抱き合うところかな。パンフには監督に「もっとエッチにといわれた」と書いてあったけれど、官能的な感じより綺麗さとか素直さの方が勝っていた気がします。