空飛ぶ潤くん

 『白夜の女騎士』を見てまいりました。・・・評判どおり難解でした(笑)。でも断片的にわかるなぁと思ったところもありました。何かね、巨大なジグソーパズルみたいなんです。ところどころのピースはつながるんだけど、ひとつの絵にはできない・・・みたいな。自分の中で全ての辻褄を合わせて理解はできないけど、ところどころそうか!とかそうなのかな?というのはあって。

 でも、うん、ニノではないけど、「理解する」なんて傲慢なことなんでしょうね。ただ好きか嫌いかと聞かれたら、好きなお話のような気はします。昔から「当たり前なのに忘れてる」って話が好きなんです。思えば、私が好んで読んだ本はみんなそうですね。当たり前に存在してるはずなのに忘れちゃってる話。

 結局ヒトは戦わないと生きていけないんだなーと思いました。血を流さなくても、絶対戦ってるんだって。自分を律するときには自分と戦ってるみたいにね。外へ向かうエネルギーっていうものはやっぱり必要だし、だからこそ文明は進化し続けてきたんだって思うんですが。

 ただベクトルの方向を間違えると、錦の御旗の元、公然と殺人ができるような世の中になっちゃったり。愛するものを守るために剣を抜いたはずなのに、結果的に愛するものをそれによって失ってしまってたり。やってるのは自分と同じ人間なんだもんなぁ。徳永英明さんの『LOVE IS ALL』という歌を思い出したりしながら(それを作った背景とかね)、そんなことをぼんやり思いました。

 そして自分の中にも当然あることを思い出したわけです。暴力ってできれば目を背けたくなるし、直視してはいけないような気がものですよね。今また『海辺のカフカ』を読んでいるので、間違ってるかもしれないけどシンクロさせながら見てしまったんですが(でも『海辺のカフカ』より『ねじまき鳥クロニクル』のイメージ)。

 村上さんの小説にも暴力とかセックスとかいわゆる「タブー」が執拗に繰り返されてて、人間の本質ってそういうタブーの中にあるのかな?とか思いました。村上さんも学生運動とか書いてるので、そんなに間違ってもいないと思うんですけどね。『海辺のカフカ』にもちょこっと出てくるし。うーん、でも間違いなのかな。

 ただ不思議だったのがラストまで笑って見られたことですかね。『燕のいる駅』とか始めは笑って見られたんだけど、最後は涙涙で、苦しくて、重くなっていったんです。でも今回はラストまで笑ってしまうところがいくつかあって(っていうか本人たちも素で笑ってたんじゃないかと思うんだけど)。人生みたいだなって思いました。

 すごくつらいときとか、すごく苦しいときとか、そういうときにまったく笑わないで暮らせるかといったら、そんなことはないんじゃないのかな〜って思うんです。例えば不治の病に冒されてる人が死ぬまで笑わないかといったら、きっとそんなことはないんじゃないかって思うの。笑うこともあるし、幸せ感じるときもあるんじゃないかって。

 変わらないんだって思うのですよ。テロリストもそうじゃない人も、学生運動で命を奪った人も奪われた人も。同じ人間でしかありえないんですもん。それを忘れちゃいけないんだなぁと思って。浅い見方なのかもしれませんが、そういう意味で難解でありながらも人生みたいって思うところが共感できる部分だし、きっと好きなお話だと思った所以です。

 ・・・舞台の感想っていつもうまく書けないです。一応文学部卒なので一文一文噛み砕いて意味を考えるみたいなこともやってたんですが、途中で嫌になって横道それて卒業したので、読解力っていうかそういう力がほぼありません(笑)。今回でいえばワグナーのオペラも聴いたことないし、神話ってどーも馴染めなくてあまり読まなかったんで。もっといろんなことを考えたんですけど、私の頭ではうまく表現できませんでした・・・。

 潤くんのお芝居の印象は、真面目に丁寧に貪欲な人だなーって感じです。ジャニーズって器用な人が多いけど、潤くんは決して器用じゃないと思うんだよね。だから真面目で丁寧で貪欲だなって思うんですけど、そういう私のイメージがぴったりハマるお芝居でした。

 あとはパンフレットのインタビュー記事がとても興味深かったです。野田さんと蜷川さんの。カッコいい(響きが安っぽいな・・・)オトナだなぁって思いました。

 ものすごくまとまりのない感想ですが(ただ書きなぐっただけ・・・)、今日は、この辺で。