月が綺麗ですね

 昼休みに同期と「おもしろかった本は何か?」「好きな作家は誰か?」という話をしていて、「大学時代は鴎外が好きで、中でも『雁』が好き」と答えたんですが。一人が「そういえば、二葉亭四迷がI love youをなんて訳したか知ってる?」と言い出しました。知らなかったので教えてもらうと、「わたし、死んでもいいわ*1」だそうです。続けて「鴎外は月が綺麗ですねって訳したんだよね」というので、あ、それなら聞いたことある・・・いや、でも鴎外じゃなくて漱石じゃなかったか?と思って、二人で調べたところ、「月が綺麗ですね」は漱石でした。どちらも小説を訳した際の表現で、その前の流れがわからないから、どれだけの名訳なのか伝わりづらいですが、これだけ切り取ってみても「うっとりだよねー!!」と二人で大興奮(夢見がちな独身アラサー)。
 明治時代は女性が想いを伝えるなんてはしたない行為だし、男性にしたってそうそう「愛している」なんていわなかったはず。それに和歌とか読むとわかるけど、古代から伝えたいことをはっきりと表現すること自体少ないわけで。相手への想いなんて、もういろんなものに比喩されまくり、直訳したら意味不明のことが多いくらいです(ゆえに難しいと古文は敬遠されるんですよねー・・・)。大切な想いほど内に秘めて、伝えるときすら、わかるようなわからないような奥ゆかしい表現を使い・・・。でも言われた方はちゃんとわかる・・・。きゃーw 想像しただけで、お腹いっぱいです。
 さらに、剛さんだったらなんて訳すのかなぁ・・・やっぱり光りという言葉は必須よね・・・あなたは光りですとか? いや、それだとそんな奥ゆかしくもないか・・・それに下手に光るとかいうと、あの人カ○ラ投げるマネとかしそうだしなーとか、一人で妄想に突っ走りました・・・。お弁当でお腹いっぱいのところ、さらに胸までいっぱいになり、若干もたれそうな勢いに。。。(そのまま次長・課長と年初面談をして、今年度の業務目標やら今後のキャリアビジョンなどを話してきました・・・現実はせつない)
 いや、でも本気で聞いてみたいです。剛さんに。・・・光一さんはいいや(笑)。光一さんは姫だから、そんなこと口にしなくても、王子がいってくれるはずなのです。そして、それに対しては「わたし、死んでもいいわ」と答えてもらいたい。(エスカレートする妄想)
 漱石は「月が綺麗ですねといったら、普通の女性なら(それが愛の告白だと)気づくはずだ」といったそうなんですが、果たして現代女性はどうなんだろうねーとも思いました。愛の告白だと気づけるのかなと。仕事をしていると、言わなくても伝わるとか、こういうつもりで言ったんだろうと勝手に解釈するとか、そういうのは絶対にダメです。でもそういうのに慣れすぎて、古来から持つ日本独特の感性を失ってやしないか? プライベートでは、月が綺麗ですねといわれて、ホントですねーと答えて会話終了!とならないようにしたいなぁと思います。。。誰かいってくれないかなー(笑)。

*1:男性の告白を受けて、女性が「私も愛している」と返答したセリフの訳です