Aから始まる。

 話が前後しちゃったけど、会社イベントでの演奏も無事に終わりました。今日もあまり推敲していなくて、つらつら書いてあるのでたたみます・・・(小心者・・・?)。
 二度と演奏することはないだろうなという有名なホールで、二度と吹くことはないだろうなという有名なソロを吹いてきました。でも関係なかった。有名なホールだから緊張するということもないし、有名なホールだからいい演奏ができるというわけでもない。有名なソロだから緊張するわけではなく、どんなソロでも緊張するし、ぶっちゃけ管楽器は初めから終わりまでソロみたいなものなので、緊張しないといえばしない。どこであっても、どんな音であっても、一瞬を大切にするというだけなんだなと思いました。本番は緊張しないタイプなんだけど、今回も意識のうえでは緊張しませんでした。体が思うように動かないなとは思ったけど、心臓がばくばく・・・みたいな緊張はなかった。もうそんな緊張、ずっとしていないけど。
 同じ曲で2回本番を迎えるのも、自発的な演奏会以外で吹くのも初めてだったけど、ぼんやりとプロってすごいなーと思いました。モチベーションの保ち方・上げ方が、こんなに微妙で難しいものだとは思わなかった。2回目なので「本番の感覚」は体験してる。前回もそこそこ出来たんだから今回も大丈夫という暗示もかけられる。でもそれが安心とか油断につながってはいけない。逆に前回も出来たんだから、今回も出来なくちゃという変なプレッシャーもあったり。部員じゃなくて社員って感じで立場も全然違うし、私たちには2回目でもお客様は初めてだったり。定期演奏会とはお客様層が違ったり(定期演奏会はある意味身内だから)。オタやって15年だけど、コンサートツアーって、精神的にも体力的にもものすごくエネルギーを使う、大変なものなんだなぁと思いました。
 ステリハで「2月にやったところより響くなー。音を聴いちゃうと遅くなりそうだなー」と思っていたら、テンポ感がつかめなくて全然吹けなくて。演奏が終わったときの自分が想像できなくて、本番が始まっても全然ソロを吹くテンションに持っていけなくて、どうしよう〜と半泣きだったけど、いろんな支えがあって、何とか演奏できました。ソロ以外のところでは悔いもあるけれど、半年の努力が実を結んだかなとはいえるので、満足しています。頑張ってよかった。でもこのオケじゃなければ頑張れなかった。みんなに心から感謝しています。
 思えばこの半年ほど、自分のために泣いたことはない気がする。こう見えて実は涙もろいので、すぐに感情移入しては泣いてしまうんだけど、自分のためにはあまり泣いたことがありません。歯を食いしばる。でも本当によく泣きました。悔しくても悲しくても嬉しくても泣いた。練習から帰ってくるたびにお風呂で泣いて、合奏中に泣いて(堪えたが)、合宿で大泣きして、電車の中で泣いて、舞台上で泣いて、本番前に泣いて、打ち上げでも泣いた。演奏以外でも貴重な体験をしました。自分の気持ちが全く動かなくなったこともあったけど、そこから抜け出した後は必死で見つめようとした。こんなに自分の正直な気持ちを見ようとしたこと、それを素直に感情を込めて伝えようとしたことはなかった気がします。
 水曜日、縁結を聴いていて、「誰もみな産声から始まった」というフレーズが残りました。結構有名な話だからご存じの方も多いと思うんだけど、産声はA(ラ)なんだそうです。どこの国の、どんな赤ちゃんでも、みんなAで泣く。オケのチューニングはAの音でするのですが、それが理由だと聴いたことがあります。そしてそのAを出すのって、オーボエなんですよね(なぜオーボエが出すのか、というのは諸説ある)。映画館で目を閉じて縁結を聴きながらそんなことを思い出し、みんなAから始まるんだなーとか思いました。ララ美我空。