そうぞうりょく

 光一さんを始めカンパニーの皆様、博多座初日おめでとうございます。・・・無事始まったとか無事終わったとか、一切の情報を知りませんが(焦)、きっと良い初日だったことと思います。1か月、頑張ってくださいね・・・!
 重いものを運んだわけでもないのに、腰にちょっとした危険を感じております。前に突然立てなくなったときも、いつもの腰痛とちょっと違うなぁと思ったんですよね。。。あのときは数日前に段ボール箱を運んだのが一因だと思いますが、今は無理な姿勢で過去の資料を見たり中腰で作業したりしているのがいけないのかなぁ。ぐきっといかないように注意しないとですね。ただでさえ、知識や性格面でロスタイムが多いのに、体調でロスタイムを作るわけにはいかないのだ。
 帰り道、先日買った100分de名著のテキストを読みながら、文学の意味を考えていました。本を読んでも飯のタネにはならない。きっと昔から言われていることで、学生時代にも国語の授業が軽んじられ、英語とか化学とかそういうものに授業時間数や熱が注がれる傾向がうかがえました。私は日本文学科に通っていたので、教授からしばしばそういう話も聞いた。確かに一理あるなとは思います。文学はそれだけで物理的なものを創造する力はない。少なくともお金を生むことに直結することはない。でもだからといって文学部はなくてもいいんじゃないか・・・という話になるのは不思議で仕方がなかったです。というよりそういう考えだから今みたいな日本になってるんじゃないかとも思う(何様)。
 同僚がときどき「何かいいことないかなー」と冗談とも本気ともつかないつぶやきを言うのですが、「生きているだけで丸儲けっていうじゃないですか〜」とか言いながら(笑)、文学ってそういうときのためにあるんだろうなと思います。文学とか哲学とか宗教とか、物理的なものを創造しない学問の存在意義。文学や哲学はただ目に見えない頭とか心で作用し、想像力を豊かにするからいいんだろうなと。同じ「そうぞう」でも字が違うことに意味がある・・・みたいな。でも結局はどちらか一方ではダメで、想像力のない人には創造できないし、創造できなければ想像も身にならなかったりするわけで、今になって高校まではどの教科も万遍なくやることに納得したりします。
 私は国語しかできない高校生だったので(笑)、理系の子に「どうやったら国語で点が取れるのかわからない」とよく言われたけど、受験国語には数学や科学みたいに公式めいたものがちゃんとあります。だからコツさえつかめばある程度は出来る。彼女はそれが見つけられないだけで、逆に私は数学の公式が使いこなせないだけのことだった・・・と思います。真に頭のいい人というのは、理系でもある程度文系も出来るし、文系でもある程度理系が出来るんですよね。歴史上名を残す人も、いろんな方面で功績を残していることが多いし。私の好きな鴎外も文学史で有名ですが、実は医者ですからね。。。漱石も元は英文学者だし、幼少期はめちゃ漢文が出来たそうです。
 数学や化学には一見答えがあるように見えますが、本当は未知の世界なのだろうなと思います。国語には一見答えがないように見えますが、答えがないということが一つの答えのような気がします。文学には答えはなくて、ただヒントだけがあると思ってます。想像するだけは自由で、何を考えてもいいと思う。でもそれを実行に移すかどうかは個々の良心に委ねられていて、情報なり選択肢なりをたくさん持ち合わせている人の方が、豊かな人生を送れるような気がします。ニュースも新聞もそんなに見たり読んだりしないけど、悲しい出来事の裏には想像力の欠如とか選択肢の少なさが関係しているように思うことが結構あるんですよねぇ。。。
 何を言いたいのかよくわからなくなってきましたが(笑)。仕事に追われていると、本を読んで、いろんなことを考えて、たくさんの障害を少しずつ乗り越えていく・・・という、当たり前にやっていたことをしなくなるんだなと思いました。学生時代は本ばかり読んでいて、本は戦友だと思っていた。でも社会人になったらあまり読まなくなりました。時間や心の余裕がないからというだけではないけど、どちらかといったら創造の基を得ようとしてしまっているからだろうなとは思います。想像の基はつい後回しになってしまう。
 でもテキストを読みながら、目先の利を追ってはいけないと思いました。高校時代に読んだ「こころ」を思い出しながら、漱石が言いたかったこと、作品のバックボーンとなった時代の背景、漱石の生い立ちなんかを知ると、なんかこう震えるものがあります。だいたいの日本人が漱石を知っている。でもどれだけすごいかというのは作品を読まないとわからないし、作品を読んだだけではわからない。高校から大学にかけて、授業を受けて、作品を読んで、楽しかったこととか衝撃を受けたこととか救われたこととか、そういうことを思い出しました。そこまでの読書家ではなかったけど、今の自分の基礎はやっぱり本だったなと。
 ニュースを見ていても、仕事をしていても、音楽をやっていても、大切なのは想像力だよなーと思う。でも今の自分はあまり想像していないなと気づかされました。仕事に直結する知識を得て、もっといい仕事がしたいというのも本音だけど、もともとはそういう飯のタネにならないようなことが好きだったわけです。私が真に手に取りたい本は、仕事の本なのか文学なのか・・・両方取るに越したことはないですが(笑)、ちょっと考えてしまったのでした。
 週末に書いたスケジュール通りに全く進まなくて、たくさん繰り越してしまったので、明日も一日頑張ります。